きままにくろねこ

文学・芸術・グルメを愛する20代女子ののんびりライフ

私の大好きな「絶望図書」たち(不条理小説・近代文学)②

今日も始まりました、猫村の絶望図書のススメ。このコーナーでは、近代文学オタクの猫村が、昨今の社会全体的なパニックを受け、今こそ読みたい不条理小説を紹介しています。(謎にラジオ風)

 

先日はカミュの『異邦人』、カフカの『変身』をご紹介しました。

そして今日は、スタインベックの『ハツカネズミと人間』、モリエールの『人間嫌い』について軽〜く解説していこうと思います。

 

1.『ハツカネズミと人間』/スタインベック

 

 なんでか分からないけど、何となく本屋でこの本の前を通り過ぎるとき、袖を掴まれたように惹かれた一冊です。

 

頭があまり良くない大男レニーと、小柄だが賢いジョージの物語。

レニーはいつも忘れっぽくて、力の加減ができず行く土地先々で問題を起こしてしまいます。ジョージは、そんなレニーを見捨てることなく共に農場から農場へ渡り働きます。

固い友情で結ばれている2人ですが、ある日悲劇が起きてしまいます。

そして最後には、親友であるレニーを…

という、ヒューマンドラマです。

 

この『ハツカネズミと人間』はレニーとジョージを中心に、様々な人物を通して社会や運命の不条理が描かれている作品です。

生まれによってその後の運命を決められてしまう不条理や、何も悪いことをしていないのに運命は残酷であること、それらを変えることができない不条理。

ジョージはレニーを見捨てれば自由で、ゆとりのある生活ができるはず。それでも彼はレニーを見捨てられません。レニーは作中誰よりも優しい心を持っていますが知的なハンディキャップがあり、力の加減ができないから1人での生活は苦しいでしょう。

 

他にも、白人たちよりもよっぽど知的でできた人間な黒人や、コンプレックスにまみれた男、男を引っかけ回す女など、属性様々な人物が登場します。彼らを通して描かれる不条理な運命や社会をぜひ読んでほしいと思います。

 

悲しい物語ではありますが、読後感は悪くなく、心にそっと語りかけてくるような優しさがある。そこがスタインベックの凄いところではないかと。

 

どうしてささやかな幸せを願うことすら許されないんだと、ラストは涙無しでは読めません。

 

ちなみにスタインベックは後にノーベル文学賞を受賞しています。

 

なんだか読んだあとは切なくて心にぽっかり穴が開く感じ。

でも良い小説です。

 

 

2.『人間嫌い』/モリエール

 

厭世的なタイトルに惹かれて購入した1冊です。

不条理小説かと言われれば、どちらかと言うと喜劇作品なのですが、人間的な部分を考えるのに役立つ1冊かと思います。

 

 簡単にストーリーを説明するとこのような感じです。

世間知らずで素直な心を持つ主人公・アルセストは、偽りや欺瞞に充ち満ちた社交界に対して不満や怒りの感情を抱いていました。そんなアルセストですが、ある日、セリメーヌという女性に恋をしてしまいます。

 

しかし、セリメーヌはアルセストが嫌ってやまない社会の悪風に染まっていたと言うのだから皮肉な話。

ただ1人愚直に誠実であろうとするアルセストは、次第に恋にも破れ、人間嫌いになっていきます…

という話。

 

この作品でも、異邦人(カミュ著)の主人公・ムルソーと同じように、社会に馴染めないアウトロー的青年が主人公です。

ただ、主人公だけが裏表がなく、正直なんですね。誠実であろうとしただけなのに、俗世間との足並みが揃わなくなったのです。

 

・・・

 

主人公はあまりにも純粋過ぎるので、そのせいでかえって滑稽に見えてしまう。

正直者はバカを見る。社交辞令に適度な嘘と毒、世渡り上手な人が得をする…。

 

主張が正論であっても、そしてそれが道徳的に正しくても、社会に充満する暗黙のルールやニオイが許さない。人によっては、正論を言っただけなのに後ろ指を指されてしまったり、バカにされたり、その場の結束から追い出されてしまったり…そんな経験をしたこともあるかもしれません。

私もよくあります。

 

高校生の時、

いつも授業中に超うるさい大迷惑なリーダー格の女子生徒が「卒業式の前に先生に感謝の気持ちを伝えるビデオ撮ろう!」とか言い出したので「授業中に静かにしたほうがよっぽど感謝されるのでは…」と言ったら卒業式まで村八分にされました。

なので私は人間は嫌いです(曲解)

心にしまっておくべきではあったなあ、子どもだったなあ、とは今でこそ思いますが、それでも自分の考えは間違っていなかったと信じていますよ。ええ。

 

結論を言ってしまえば、そういう話なんですよね、この『人間嫌い』は。

愚直で、自分の正しさを主張すればするほど社会との調和が取れなくなるっていう人のお話です。

 

 

ちなみに『人間ぎらい』は戯曲形式です。ストーリーはキャラクターの台詞のみで進行します。

そのため詳細な説明はありませんが、その分直感的に読めるので面白いと思いますよ!

 

 ★★★

 

ところで、大学を卒業してから全く本を読まなくなってしまいました。

二宮金次郎の像になる勢いで読んでいたのにこれでは読書家の名が泣いてしまう。また時間を見つけて色々と読みたいです。

 

それでは~。

2020年4月12日

Webライター猫村仁奈の今日の積み上げ

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