先日Twitterで #絶望図書 というハッシュタグが話題になりました。
こんなご時世だからこそ、重めの文学が必要なんだというツイートと共に拡散されたこのタグでは、様々な絶望図書愛好家さんがツイートしています。
私、猫村は自他ともに認める近代文学好きです。
その中でも特に愛して止まないジャンルが、まさに絶望図書とも言える不条理小説や近代文学なのです。
ということで、今日は私の大好きな絶望図書たちを紹介したいと思います。
良かったら読んでってね~
一つに纏めようと思ったんですが体力がないので小出しにします。
1.『変身』/フランツ・カフカ
絶望名人カフカは絶対に外せませんよね。
カフカの代表作と言われる『変身』は言わずもがな、不条理小説のトップバッターです。
主人公のザムザはある朝目覚めると、なんの前触れもなく虫に変身してしまっていた。
ザムザが虫になった理由は特になく、なにかの天罰や魔法ではない。ただ、ある日突然虫とってしまった「不条理」を描いています。
第一次世界大戦後のドイツの社会情勢というか、人々の精神的な苦痛や危機を投影したこの作品。
一見、現実感の無い物語ですが、実は人間の心や社会をよく象徴した文学です。
著者のカフカはユダヤ系ドイツ人でした。
彼はそれ故に周囲との疎外感に苛まれていた。彼の描く不条理とは、世界から分断された人間一個人の孤独や疎外感、浴びせられる冷笑のような、気持ちの悪い人間くささを表した小説だと言えるのではないでしょうか。
そして、ザムザを襲った『変身』は決して他人事ではない。事故や事故、病気やちょっとした生まれや意見の違いで、人間というものは簡単に社会から追い出されてしまう。
その『不条理』を表した最高傑作。だと私は思います。
2.『異邦人』/アルベール・カミュ
カミュもまたカフカと同列に語られる不条理小説の天才です。
生きた時代も近いですね。彼は戦間期をフランスで過ごしました。
主人公のムルソーは自身の母親が亡くなったと聞かされても何の感情も湧かなかった。いつもと変わらぬ日常を過ごしていたそんなある日、アラブ人とのトラブルに巻き込まれます。
そしてムルソーは彼らの命を手にかけるのです。銃で。
裁判のとき、ムルソーは彼らを殺めた理由に「太陽のせい」と語りました。
処されることとなっても自分は幸福だったと思う。
処刑の日に憎悪をもって迎えてくれればそれでいい、みたいな、論理的な部分が失われている主人公の話です。
難解な小説です。私も初めて読んだときに「は?」て言いました。笑
『異邦人』は一人称視点の小説です。だからこそ語られない部分があるのだろうと、そう読むのが一番楽かなぁなんて。実際、ムルソーは本気で太陽が眩しかったから人の命をとった訳でもないでしょう。
ところで、ユダヤ系ドイツ人として迫害されたカフカと同じく、カミュもまた無神論者でした。
キリスト教の思想が色濃い西洋で、カミュこそが社会から見た異邦人だったのではないでしょうか。『異邦人』とはカミュからみた世界なのでしょうか。
「社会と調和しないというだけで非難されることになる」
カミュの小説の主人公にはそういうきらいがある。ムルソーだって、よくよく考えてみればそうじゃない。裁判のとき、ムルソーは母親がなくなっても涙を流さず、遊びに耽っていたことを咎められます。
多くの人が「親がなくなったら涙を流す」と思いますが、ただ彼は涙を流せなかったということ、処刑が決まった後も神を信じなかったことなど、それもこれも皆と違うっていうだけ。
ムルソーが徹頭徹尾理解されないことで、社会集団のルールとか選民意識とかなんやらが浮き彫りになっていく気がする…。
私たちの生きる今でもこういうことってあるじゃない。
右向け右で左を向いたら怒られるし、
イジメや嫌がらせだって「あいつの行動や言葉がチョット鼻についた」とか、
それで「イジメはやめなよ」って勇気を出して言った方が次はターゲットになったり。
ちょっと過激な例を出してしまい失礼いたしました。が、そういう理不尽な仕打ちというものを書いた、集団社会のアウトサイダーへの報復…みたいなメッセージを感じられる作品です。
『変身』はともかく『異邦人』は難解です。
私にとっても、1度読んでから読み返そうという気にならなかった珍しい本です。
ただ、不条理小説というものは何か大きなメッセージを受け取ろうとしなくても良いと思います。
不条理小説の醍醐味は「で、何これ?」と思うこと。
無理して面白かったとか興味深かったとか思わなくても良いし、意味分からんつまらんという感想も堂々と言って良い。と、思うよ…!!!!
以上、今日の「絶望図書」おすすめコーナーでした。
2020年4月11日
Webライター猫村仁奈の今日の積み上げ
新規記事 800字×3
仕上げ・提出 3記事
仕上げにだいぶん時間を書けてしまったので効率が悪い…