きままにくろねこ

文学・芸術・グルメを愛する20代女子ののんびりライフ

〈2019年東宝版エリザベート〉 観劇レポート①全体感想編

 

 

場に通い始めて早約10ヶ月。以来、観劇時の感動の体験や考察を具に記録していきたいと思っていて、この度ブログを開設した一番の理由でもある。

 

今回は先日大千秋楽を迎えて間もない”エリザベート”の感想を綴ります。それではれっつごーー

 

 

 

 

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Empress,Elisabeth of Austria

ミュージカル エリザベート(原題:Elisabeth)

2016年以来3年ぶりの上演となったエリザベートも8月26日をもって大千穐楽を迎えた。

ミュージカル界の最強コンビ、シルヴェスター・リーヴァイさんとミヒャエル・クンツェさんによる大傑作。

ミュージカル史の中でも屈指の名作、人気作であり、固定ファンも多くチケットが取りにくい。日本では東宝版と宝塚版が主に上演されており、演出はどちらも小池修一郎先生が手がけている。

 

本家ウィーン版、宝塚版、東宝版とでは展開や人物の立ち位置等がやや(だいぶん)異なっている。

 

10文でわかるエリザベート(あらすじ)

由に憧れ少々お転婆が過ぎる少女・シシィは木から落下し生死をさまよう。

黄泉の帝王トートはシシィの魂に恋い焦がれ、生き返らせてあげた。

姉のお見合いに同行した先でフランツ・ヨーゼフに見初められ結婚。

皇后としての生活は大変窮屈で、皇太后ともソリが合わず嫁と姑大戦争。

美貌を武器に意志を貫き、「私は私だけのもの」としながら皇帝と歩むことを選ぶ。

 

身を大賞賛する声に勝ち誇り、自身と威厳に満ち足りたエリザベートは夫と宮殿、そして「死」とすら決別を誓う。

皇太后の策略により夫から病気を移されたシシィは宮廷を離れ、終わらぬ旅に出た。

皇帝や民衆と対立した息子ルドルフに助けを求められるが、保身のために目を背けてしまい、命を絶たせてしまったと責める。

悲しみのなか度を続けるエリザベートは皇帝と再会するが、それはお互いの孤独と愛の限界を知らしめるだけの哀しいものだった。

そして皇帝の悪夢の中ハプスブルク家は倒れ、エリザベートは黄泉の手に引かれ生涯を閉じる。

 

 

 感想

長くなってしまうので特に印象に残っているところを中心に列記するね。語彙力が少なめです。

 

音響、オーケストラ

2016年と比べてところどころアレンジが加わっていた。

特に<マダムヴォルフのコレクション>の伴奏はジャズ風味のあるおしゃれなアレンジで妖艶さが加わりとても素敵だった。

あと今回は音響が凄く凝っていたように感じた。

結婚式のシーン(カセドラル)では歌唱は控えめのヒソヒソ囁くような感じに、同じく<憎しみ>では音量を絞る箇所と強く歌う部分があり、大分強弱がついていた。

人の心の中の憎しみや不幸が徐々に膨張し溢れていく様子が生々しく伝わってきた。

台詞には要所要所でエコーがかかっていた。聴きづらさなどは特になし。コルフ島でのシシィパパなど幻想的でした。

トートの「死にたいのか?」にもエコーかかってたっけ、かかってた気がする。あれ好き。

 

演出

回初めて劇場でエリザベートを見て感心したところ、それは舞台セットの使い方

エリザベートのもっとも良く使われているあのセット(棺になったりもする上手中央下手三点セット)。

女性陣が上ったり下ったりする度に裾を引っかけて転んでしまわないかハラハラする場面もあるが、とにかくあのセットすごい。

 

〇舞台の上下左右を余すことなく使い倒す

下と上手上手だと混乱しそうなので、ここでは敢えて上下と左右という言い方をする。

特に印象に残っているシーンをいくつか。

 

1 バートイシュル 


ルドヴィカ一行とゾフィー一行が落ち合うシーン。
ゾフィーたちが地上で会話しているとき、シシィとフランツは舞台装置の上で出会う。このような同時進行している二つのシーン(出来事)は、映画や小説では交互に演出せざるを得ないが、これが同時にできるのはミュージカルの強み。

また、舞台の上部と地上部で高さを出すことによって情報量が多く飽きさせない。

 

2  フランツとルドルフの対峙~〈憎しみ〉のシーン


国を憂う青年皇太子となったルドルフが父親に反発するあのシーン。

ルドルフとフランツは舞台セットの上で左右にいる。民衆に憎しみの念が生まれ始めていることを憂い、『よく見てください』と地上を指す。そして民衆が登場し〈憎しみ〉へと続く。

 


この高台、こういう〈憎しみ〉のシーンみたいに、民衆は地上=身分が下、ハプスブルクの人たちは上=身分が最も高いことも表現していてとても好き。

一幕の〈皇帝の務め〉でも言える。皇帝は上段におり、家臣たちは下段で起立しているのね。登場人物らの上下関係を視覚的に、一枚絵のように表現するのって当たり前かもしれないけど凄い。


〈私だけに(三重唱)〉でも同じように高さを出して演出している。

下部のフランツ、最上部トート、真ん中シシィ。あのシーンうっかりトートがバランス崩さないかめっちゃはらはらするけど。

あれ、シシィが真ん中っていうのがこれまた良いのだ。

フランツもトートもシシィに手が届かない。

シシィの『私は私だけに命を委ねる』という強い意志が感じられる。それにしてもあのシーンのシシィ本当に美しすぎて泣く。

 

 

 人的に好きなシーン

ここからは個人的に好きすぎるシーンについて。

 

ゾフィーの死


エリザベートの登場人物の中で最も好きなのがゾフィー。
「強く 厳しく 冷静に」と優しさを抑え気丈に振舞う姿が大好き。
フランツに否定されたあと、ぽつりぽつりと零れ落ちるように隠した本音を歌うのが切なくて何回みても泣く。

ゾフィーの厳しさは全てフランツやハプスブルクへの最上級の愛情だった。誰よりも国と息子を愛していたのに、一人の女性への愛一つで義務を破り、決別まで言い渡された時、どんなにつらかったのだろう。やば涙出てきた。

最期の翼を携えたトートダンサーたちに囲まれそっと息を引き取る姿があんまりにも美しくてこれまた泣くのだ。

 

 

体操室


シシィ「命を絶ちます」の後からの歌の疾走感がすごく好き。

トートは遂にシシィが手に入る!とばかりに意気込んで楽しそうなのに対し、あまりにもポジティブなシシィのすれ違いが面白すぎる。
「命を絶ちます」から「私自由よ」までの心の切り替えが早すぎて見習いたい。
25日マチネ、トートがベッドに飛び乗る際に結構ベッドが動いてて一瞬ヒュンってなった。トート様ワイルドかよ~~(好きです)

シシィに拒絶された後、素直に退散していくところを見るとやはりトートは死の概念の象徴であって人間ではないのだなと感じた。
あれほどシシィスキスキはやく命頂戴していても、拒絶されれば深追いすることはできない。
シシィの中の「しにたい」という気持ちそのものなのだなあと常々思う。トートを追い払う、即ち、シシィが己の希死念慮を克服したということなんだ。シシィつよい。

 

 

ミルク


華やかな音楽とは一転、民衆たちの貧困や焦燥といった生活苦の滲み出るメロディが最高。ミルクの容器を使った振り付けとダンスも好き。
前楽日ではステージ上のボルテージが最高に高かった。みんな本気でミルクを求めていたし見捨てたら本気で復讐しそうな緊張感があった。三回の観劇の中で前楽日だけ自然と涙があふれてきた。

ミルクはウィーン版も歌詞のリズムが良かったりアンサンブルの迫力が半端ないので是非見てくださいまし...

 

皇后の務め〈リプライズ〉

 

オペラグラスでリヒテンシュタインを眺める時間。
メイドさんたちとの掛け合いがすべての不幸を忘れるくらいに可愛い。

リヒテンシュタインさんと六人のメイドたち ってスピンオフほのぼの小説ください。
振り付けにあわせてメイドさんのスカートがふりふり揺れるのめちゃくちゃ可愛いので宜しくお願いします。
しかし民衆たちが最低限生きる為のミルクを求めている裏で、シシィは美容のためにミルク風呂い入っていると考えると溜まったものではないな・・・。

 

憎しみ


ナチが登場するのはルドルフが死んだ後なので、あれはルドルフが想像した最悪の未来という解釈をした。

これ、絶対にルドルフはヒトラーと出会うことはないんですよ歴史上。だってルドルフの命日は1889年1月30日、ヒトラーの生年月日は1889年4月20日

このシーン、おもっきしハーケンクロイツの旗出したり、民衆をハーケンクロイツの形になるように並ばせたり出来るの日本だけなのかなあ?わからんけど、直接的な場面描写でわかりやすくてすきです。

 

 

このシーンだけでなく、全体的に日本版は説明的なのかなあとも。極東日本ではハプスブルクの歴史になじみがない場合も多いと思うし、私自身世界史があまり得意ではなかったのでわかりやすくて助かってます。

というかむしろこのエリザベートのおかげで歴史物ミュージカルを見る気になったし、西洋の歴史について興味を持つようになった。ありがとうエリザベート。エーヤン、エリザベート。

 

 


以上お気に入りのシーンを中心にざっくりと。
エリザベートは本当にすべてのシーンが素敵なので永遠に語りたい気持ちを抑えました。

本当に最高のミュージカルに出会えてうれしい。毎日エリザベートについて考えてる。クオリティーオブライフがあがる。

 

 

今日はここまで!!


次回は各キャストさん中心に、登場人物別に感想を書きます。

 

プリンシパルキャストについての記事を書きました。

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